ミネルヴァ法律事務所の件

熊本市で「家族の安心・安全のお手伝い」をしていますサレ夫探偵社です。

ちょっと前の話にはなりますが、先日、たまたまその話題になったので書いてみます。

毎日見ない日はないレベルでバンバンCMを流していた東京ミネルヴァ法律事務所が倒産(解散)してもうすぐ４年ですね。

しかし、弁護士が取り戻した顧客の過払い金30億の内25億を不正流用ってヒドいと思いませんか？
ご存知ない方の為に簡単に説明すると、過払い金請求で預かっていた(依頼主に)返還すべき30億を宣伝広告費等に不正流用したという内容でした。

開業当初から業界では「一時期だけのボーナスステージ」と言われていた過払い金の返還請求に限界を感じたのか、途中からはB型肝炎訴訟も扱ったりはしていましたが、結局弁護士法人としては過去最高額の51億の負債を抱えて倒産(解散)しました。
「ボーナスステージ」というのは「申請すれば必ず貰える助成金と一緒で、過払い金は請求すれば必ず支払われる」言ってみれば「資格さえあれば実務経験ゼロでも請け負える代行業務」だったからです。
※但し代行には資格が必要なので、有資格者である弁護士にはボーナスステージだった訳です。

つまり「タピオカ」とか「リンゴ飴」と一緒で、「一時的に爆発的に儲けてすぐに撤退しないとマズいパターン」だったのですが、撤退の時期を見誤った形ですね。
※これも実質的に運営していたと言われる広告会社が吸い上げるだけ吸い上げて設立当初の予定通りに計画的に倒産させた可能性はありますが、それの立件は容易ではないでしょう。

まず最初に当初より「高額なテレビCM以外にもネットや雑誌、電車やバスと、とにかく広告打ち過ぎ」だと言われていました。時間帯問わず、高額で有名なテレビCMをあんだけ打てば何億どころでは済まなくなって当然です。それをペイするのにいくら分の過払い金を取り返す必要があるのか計算しなかったのかって話ですね。
※依頼者が取り返した過払い金の何割かが弁護士の取り分になる仕組みなので、数十億の広告費を支払うには少なくとも数百億の過払い金返還が見込めなければいけなかったのに、実際に回収していたのは数十億なので、そもそもの広告費が過大であったのは明らかです。

次に「過払い金の調査は無料だからとりあえず電話しろ」ってどれだけ必死なのか。
実務は全部アルバイトがやっていたと思われますが、それでも人件費はかかります。
探偵事務所で言えば「不倫調査は不倫している証拠が取れなければ無料です」って謳ってるようなもんですね。

仮に調査依頼５件に対して４件は思い過ごしで不倫しておらず、実際に不倫していて証拠が取れたのが１件だとすると、その場合は「不倫した証拠が取れ場合、他の探偵事務所の５倍の料金を請求しなければ成り立たないビジネスモデル」って事になります。それどころか実際には「証拠が取れなければタダなら」と面白半分に依頼する輩も出るのでもっと証拠が取れる確率は低いでしょう。すると料金はさらに跳ね上がります。「証拠が取れたらヨソの探偵の10倍の請求をしますが良いですか？」と言われて了承する依頼者がいると思いますか？
こう言われると、いかに実現不可能な(異常な)広告を打っていたのかが分かります。

最後に「所属している弁護士の質が低い可能性が高い」と言われていました。
これは弁護士資格の取得が以前に比べると簡単になり、質が低い弁護士が増えている事も関係していると思いますが、優秀な弁護士は独立したり、友人弁護士と合同事務所を持ったりしていますから「弁護士としての高額な仕事が取れない弁護士が弁護士資格を活かして小遣い稼ぎをする場」で言われていました。
※私が東京在住時に付き合いのあった弁護士も「あそこに頼むくらいなら自分でやった方が良いと思うけどねぇ」と言っていました。

正直、個人的には完全に計画倒産だったんだろうと思っていますが、未だに刑事責任を問われていない事からも、「プロの弁護士だから容易に立件可能な証拠は残していなくて検察も立件できずにいるんだろうな」と思っています。
しかし、グレーゾーン金利の事も知らずに30%近い金利を払って借りていたような素人相手(しかも自分を信頼して依頼してくれた依頼者)相手に法律のプロがよくやるなぁと思います。探偵なら奥さんから依頼を受けて不倫の証拠を入手しておいて、旦那に「この写真買い取りませんか」と持ち掛ける悪徳探偵並みの悪どさではないでしょうか？

一応は東京弁護士会はミネルヴァ法律事務所を除名処分にしたようですが、個々の弁護士資格はそのままでしょうから、弁護士資格を悪用して法の穴をかいくぐり素人を喰い物にする悪徳弁護士は弁護士資格の剥奪をしないとダメですよ。犯罪組織と一緒で、形を変えて繰り返します。

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